Column ・ 売却 ・ Vol.50

媒介契約の種類|専属専任・専任・一般の違いと選び方

仲介会社に売却を依頼する際に結ぶ媒介契約には3つの種類があります。それぞれの違いと、選び方の考え方を整理します。

不動産の売却を仲介会社に依頼する際に結ぶ媒介契約には、専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があります。それぞれの違いと選び方の考え方を整理します。

この記事の要点
  • 媒介契約には専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があり、依頼できる会社数やレインズ登録義務、報告頻度が異なります。
  • 専属専任媒介・専任媒介は1社にのみ依頼する契約で、契約後一定期間内にレインズへの登録と、定期的な販売活動の報告が義務づけられています。
  • 一般媒介は複数の会社に同時に依頼できますが、レインズ登録や定期報告の義務はありません。
  • どの契約が向いているかは、物件の特性や売却を急ぐ事情、仲介会社との相性によって変わります。

結論

媒介契約の選び方に絶対的な正解はなく、物件の特性や売却を急ぐ事情、依頼したい仲介会社の実績などを踏まえて選ぶことになります。それぞれの契約の仕組みと違いを理解したうえで、仲介会社と相談しながら決めることをおすすめします。

専属専任媒介契約の特徴

専属専任媒介契約は、1社の仲介会社にのみ売却を依頼する契約です。他の宅建業者に重ねて依頼できないだけでなく、自分で見つけた買主(知人など)に直接売却する自己発見取引も、原則として媒介業者を通す必要があります。契約の有効期間は宅建業法上、最長3か月です。仲介会社は契約締結日から5日以内(休業日を除く)にレインズへ登録し、1週間に1回以上の頻度で販売状況を報告する義務があります。

専任媒介契約の特徴

専任媒介契約も1社にのみ依頼する契約ですが、専属専任媒介と異なり、自分で見つけた買主への直接売却(自己発見取引)は可能です。契約の有効期間は専属専任媒介と同じく最長3か月です。レインズへの登録期限は契約締結日から7日以内(休業日を除く)、販売状況の報告頻度は2週間に1回以上と、専属専任媒介よりもやや緩やかな義務が定められています。

一般媒介契約の特徴

一般媒介契約は、複数の仲介会社に同時に売却を依頼できる契約です。自己発見取引も可能です。専属専任媒介・専任媒介と異なり、レインズへの登録義務や定期的な報告義務は法律上定められていません。契約期間についても法律上の上限はありませんが、行政指導により3か月を目安とする運用が一般的です。依頼先を明示する明示型と、明示しない非明示型があります。

それぞれのメリット・デメリット

専属専任媒介・専任媒介は、1社に絞ることで仲介会社が販売活動に注力しやすく、レインズ登録や定期報告により状況を把握しやすいというメリットがあります。一方で、その1社の販売力に売却活動全体が左右される面もあります。一般媒介は複数の会社に依頼できるため露出の機会が増えやすい一方、各社の関与度が下がりやすく、レインズ登録や報告の義務がないため状況を把握しにくい面があります。

どの契約を選ぶかの考え方

人気エリアの物件や好条件の物件では、一般媒介で複数社に依頼して競わせる考え方もあります。一方、物件の特性から販売活動に工夫が必要な場合や、囲い込みなどのリスクを避けつつ状況をこまめに把握したい場合は、専任媒介・専属専任媒介を選び、信頼できる1社にしっかり動いてもらう考え方が向いていることもあります。査定を依頼した際の提案内容や、担当者との相性もあわせて判断材料にするとよいでしょう。

よくある質問

媒介契約はあとから変更できますか?

契約期間の満了時に更新しない、または契約書の定めに従って途中解約の手続きを行うことで、別の媒介契約に切り替えることは可能です。契約内容を事前に確認しておきましょう。

一般媒介にすると、必ず早く売れますか?

複数の会社に依頼できる分、露出の機会は増えますが、各社の販売活動への注力度が下がることもあります。物件の特性や状況に応じて向き不向きがあります。

レインズへの登録は自分で確認できますか?

専属専任媒介・専任媒介では、仲介会社からレインズへの登録を証明する書面(登録証明書)が交付されるため、そこで確認できます。

この記事で持ち帰れること
  • 判断の軸は、単独の条件ではなく複数の条件を重ねて見ることです。
  • 売却では、広告上の表記と契約書上の条件が同じ意味とは限りません。
  • 迷う場合は、譲れない条件・相談できる条件・見送る条件に分けると判断しやすくなります。
  • 最終判断の前に、査定書、登記簿、固定資産税通知書、管理規約、ローン残高資料を確認することが大切です。

実務で見るべき判断軸

このテーマで大切なのは、表面上のメリットだけで判断しないことです。売却を検討している方にとっての正解は、予算、時期、家族構成、仕事の動き方、将来の予定によって変わります。まずは「何を優先すると生活や資金計画が楽になるか」を言語化してから、条件を一つずつ確認していくと失敗しにくくなります。

判断の中心は、価格だけでなく、売却期限、税金、残債、引渡し後のリスクまで整理して進めることです。条件が良く見える候補ほど、急いで決める前に「後から変えられない条件」がどこにあるかを確認しておきましょう。

特に売却の現場では、資料に書かれている内容と、実際に運用されている条件の間に細かな差が出ることがあります。気になる点は口頭で済ませず、メールや申込書、契約書面に残る形で確認しておくと、あとから認識違いになりにくくなります。

相談前チェックリスト
  • 売却希望時期と最低手取り額
  • 査定根拠と近隣成約事例
  • 残債・抵当権・税金の確認
  • 媒介契約と販売活動の方針

迷ったときの考え方

迷ったときは、条件を「今すぐ必要なもの」と「あとから変えられるもの」に分けて考えます。立地、契約条件、権利関係、建物の管理状態のように後から変えにくいものは慎重に見ます。一方で、家具配置や一部の設備、入居後の運用で調整できるものは、優先順位を下げられる場合があります。

高い査定額だけで会社を選ぶと、販売開始後の値下げや長期化につながることがあります。 その場で結論を急ぐより、比較表にして総額・リスク・暮らしやすさを並べるほうが、納得感のある判断につながります。

まとめ

媒介契約には専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があり、依頼できる会社数やレインズ登録・報告義務が異なります。それぞれの特徴を理解したうえで、物件の特性や自分の状況に合った契約を選ぶことが、円滑な売却につながります。

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