高齢の親が所有する実家を売却する場合、名義人である本人の意思確認が売却手続きの大原則になります。施設への入居や介護を機に売却を検討するケースは増えていますが、本人の判断能力の状況によっては、通常の手続きだけでは進められない場合があります。ここでは一般的な考え方を整理しますが、個別の判断が必要な場面では司法書士や弁護士など専門家への相談が欠かせません。
- 不動産の売却は名義人本人の意思確認が大原則であり、家族であっても本人に代わって自由に契約はできない。
- 本人が心身の理由で契約の場に出向けない場合は、委任状による代理人選任などの方法が検討される。
- 本人の判断能力が十分でないと考えられる場合は、成年後見制度の利用が必要になる場合がある。
- 成年後見制度には、判断能力が失われる前に備える任意後見と、すでに低下した後に利用する法定後見がある。
- 本人確認や意思確認の方法、後見制度の利用要否は、司法書士や弁護士など専門家に相談しながら判断することが基本となる。
売却の大原則は本人の意思確認
不動産の名義人が誰であっても、売却には名義人本人の意思確認が欠かせません。これは高齢の親であっても変わらない大原則です。家族が良かれと思って手続きを進めようとしても、本人の意思確認ができない状態では、原則として契約を進めることはできません。まずはこの前提を理解しておくことが大切です。
本人が動けない場合の代理という選択肢
本人の判断能力に問題はないものの、体調や移動の都合で契約の場に出向くことが難しい場合は、本人が委任状を作成し、家族などを代理人として手続きを進める方法があります。ただしこの場合も、本人自身が委任の内容を理解し、意思をもって委任していることが前提となります。委任の方法や必要書類は、仲介会社や司法書士に確認しながら進めるとよいでしょう。
判断能力が不十分な場合は成年後見制度
本人の判断能力が認知症などにより十分でないと考えられる場合、家族が代わりに売買契約を結ぶことは原則としてできません。このような場合には、成年後見制度の利用が必要になる場合があります。家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任してもらい、後見人が本人に代わって法律行為を行う仕組みです。すでに判断能力が低下している場合に利用するのが法定後見、判断能力があるうちに将来に備えて契約しておくのが任意後見です。
成年後見制度を利用する場合の注意点
成年後見制度を利用して不動産を売却する場合、本人の居住用不動産にあたるときは、家庭裁判所の許可を得る必要があるなど、通常の売却とは異なる手続きが加わります。手続きには時間がかかることもあるため、早めに司法書士や弁護士に相談し、必要な手続きの見通しを立てておくことが大切です。
相続が発生する前に検討しておきたいこと
高齢の親の家をいずれ売却する可能性がある場合は、判断能力が十分なうちに任意後見制度の活用や、今後の方針について家族間で話し合っておくことも選択肢の一つです。相続が発生してからの実家売却の流れについてはsell-13.htmlで、共有名義の場合の注意点はsell-21.htmlで整理していますので、あわせて参考にしてください。
よくある質問
家族が代わりに売却手続きを進めることはできますか?
不動産の売却は名義人本人の意思確認が大原則であるため、家族であっても本人の意思確認なしに勝手に手続きを進めることはできません。本人が委任状を作成できる状態であれば代理人による手続きも検討できます。
認知症の親名義の家は売却できませんか?
判断能力が不十分な場合、そのままでは契約行為ができないため、成年後見制度の利用が必要になる場合があります。手続きの要否や進め方は司法書士や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
成年後見制度を使うとどんな手続きが増えますか?
本人の居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可を得る必要があるなど、通常の売却にはない手続きが加わります。時間がかかることもあるため、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
まとめ
高齢の親名義の家を売却する際は、本人の意思確認が大原則です。判断能力に不安がある場合は成年後見制度の利用が必要になる場合があるため、司法書士や弁護士など専門家に早めに相談しながら進めることが大切です。