Column ・ 売却 ・ Vol.39

査定書の読み方|取引事例比較法・収益還元法

査定書には金額だけでなく、算出の根拠となる手法が記載されています。代表的な査定手法の考え方と、確認しておきたいポイントを整理します。

査定を依頼すると、金額とあわせて算出根拠が記載された査定書を受け取ります。金額の大小だけで判断するのではなく、どのような手法で算出されたのかを理解しておくと、複数社の査定を比較する際にも役立ちます。

この記事の要点
  • 査定書には金額の算出根拠となる手法が記載されている。
  • 居住用不動産では、類似の成約事例と比較する取引事例比較法が中心的に使われる。
  • 建物価格の算出には、再調達価格をもとにした原価法が使われることがある。
  • 賃貸中の物件や投資用物件では、収益力から逆算する収益還元法が使われやすい。
  • 査定額は参考価格であり、必ずその金額で売れることを保証するものではない。

査定書には算出根拠が書かれている

査定書は金額の数字だけを示すものではなく、どのような情報や手法をもとにその金額を算出したのかという根拠も記載されています。金額の高さだけで査定会社を選ぶのではなく、根拠の妥当性を確認する視点を持つことが大切です。

取引事例比較法とは

取引事例比較法は、対象物件と条件の近い周辺の成約事例を集め、立地や築年数、面積などの違いを補正しながら価格を算出する手法です。マンションや戸建てなど居住用不動産の査定で広く使われている、基本的な考え方です。

原価法とは

原価法は、対象の建物を今新たに建築するとした場合の再調達価格を算出し、そこから経過年数に応じた減価を差し引いて価格を求める手法です。主に建物部分の価格を個別に算出する際に使われることがあります。土地部分については取引事例比較法で、建物部分については原価法で算出し、両者を合算するという形で査定が行われることもあります。

収益還元法とは

収益還元法は、その物件を賃貸に出した場合に得られる家賃収入をもとに、収益力から価格を逆算する手法です。単年の収益をもとに計算する直接還元法と、複数年の収益予測をもとに計算するDCF法があり、賃貸中の物件や投資用物件の査定でよく用いられます。オーナーチェンジ物件の売却についてはsell-17.htmlで整理していますので、あわせて参考にしてください。

査定書のどこを確認すべきか

査定書を確認する際は、採用された手法だけでなく、比較対象とされた成約事例の内容や、想定される成約までの期間なども見ておくとよいでしょう。根拠が曖昧なまま高い金額だけが示されている場合は、注意が必要です。媒介契約を取りたいがために相場から離れた高値を提示するケースもあるため、根拠を説明できるかどうかを確認する姿勢が大切です。気になる点があれば、担当者にどの事例を参考にしたのか具体的に質問してみるとよいでしょう。根拠を丁寧に説明できる担当者であれば、その後の売却活動でも安心して任せやすい傾向があります。逆に根拠を曖昧にしか説明できない場合は、査定額の信頼性そのものを慎重に見極める必要があります。

複数社に依頼して比較する意味

複数の会社に査定を依頼すると、金額に差が出ることがあります。これは採用した成約事例や査定ロジック、営業方針の違いによるものです。査定額が会社によって異なる理由はsell-09.htmlで整理していますので、金額だけでなく根拠を比較する視点で確認することをおすすめします。

よくある質問

査定書の金額は必ずその価格で売れますか?

査定額はあくまで参考価格であり、実際の成約価格を保証するものではありません。売り出し価格は査定額を参考にしつつ、市況や反響を見ながら決めていくことになります。

取引事例比較法と収益還元法はどちらが正確ですか?

物件の種別によって適する手法が異なり、一概にどちらが正確とは言えません。居住用不動産では取引事例比較法、投資用不動産では収益還元法が中心的に使われる傾向があります。

査定額が高い会社を選べばよいですか?

金額の高さだけで選ぶのではなく、算出根拠が明確かどうかを確認することが大切です。査定額が会社によって異なる理由はsell-09.htmlで整理しています。

まとめ

査定書は金額だけでなく、算出の根拠となる手法にも目を向けることで、より納得感を持って売却活動を進められます。取引事例比較法や収益還元法といった代表的な手法の考え方を理解し、複数社の査定を比較する際の参考にしてください。

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