Column ・ 売却 ・ Vol.22

売却で損が出たときの税金|譲渡損失の損益通算・繰越控除

不動産を売却して損失が出た場合、要件を満たせば給与所得など他の所得と損益通算し、翌年以降に繰り越して控除できる特例があります。制度の概要と注意点を整理します。

不動産の売却で利益ではなく損失が出た場合にも、マイホームの売却であれば税負担を軽減できる特例が用意されています。制度の概要と、確認しておきたい注意点を整理します。

この記事の要点
  • 譲渡損失はマイホーム(居住用財産)の売却が対象で、投資用物件などは対象外。
  • 損益通算・繰越控除には所有期間5年超などの要件がある。
  • 買い替えを伴う場合と伴わない場合で、それぞれ別の特例がある。
  • 繰越控除は最長3年間、合計所得金額などの要件がある。
  • 適用要件は複雑なため、確定申告前に税理士・国税庁で確認するのが確実。

譲渡損失とはどのような状態か

不動産を売却した際、取得費や譲渡費用の合計が売却価格を上回ると、譲渡損失(マイナスの譲渡所得)が生じます。通常、不動産の譲渡所得は他の所得と分離して税額を計算するため、譲渡損失が出ても給与所得など他の所得と相殺することはできません。ただし、マイホーム(居住用財産)の売却で一定の要件を満たす場合には、例外的に損益通算と繰越控除が認められる特例があります。なお、譲渡所得の申告は不動産を売却した翌年に確定申告で行うため、損失が出た場合もあわせて申告することで特例の適用を受けられます。

マイホームの譲渡損失に使える2つの特例

マイホームの譲渡損失に使える特例には、大きく分けて「買い替えを伴う場合」と「買い替えを伴わない場合」の2種類があります。いずれも、売却した不動産が自分の居住用財産であることや、一定の所有期間を満たしていることなどが前提となります。なお、これらの特例は自己の居住用財産であることが前提のため、別荘やセカンドハウスなど生活の本拠として使っていない不動産は対象外です。

買い替えを伴う場合の特例

買い替えを伴う場合に使えるのが「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること、新しく購入した住宅について住宅ローンを組んでいることなどが主な要件とされています。新たに取得した住宅の床面積や、繰上返済ではなく借入による取得であることなど、細かな要件が定められています。

買い替えを伴わない場合の特例

買い替えをせず、住宅ローンが残っている自宅を売却した場合には「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が使える場合があります。売却した不動産に係る住宅ローンの残高が、売却価格を上回っていることなどが主な要件です。住宅ローンが残っている家の売却については、baibai-23.htmlでも整理しています。住宅ローンの残高が売却価格を上回る部分(オーバーローン部分)が損益通算の対象になる点も、この特例の特徴です。

主な適用要件と繰越控除の期間

どちらの特例も、給与所得などと損益通算してもなお引ききれない損失がある場合、翌年以降最長3年間にわたって繰り越して控除できます。ただし、繰越控除を受ける年の合計所得金額が一定額を超える年は適用できないなど、細かい要件が定められています。損益通算・繰越控除を受けるには、確定申告時に売買契約書の写しなど、要件を満たすことを証明する書類の添付が必要です。

利用する際の注意点

これらの特例は要件が複雑で、確定申告の手続きも必要になります。適用できるかどうかの判断や具体的な要件の確認は、税理士や国税庁の案内で確認することをおすすめします。3,000万円特別控除など、利益が出た場合の税金についてはsell-05.htmlで整理しています。

よくある質問

不動産を売って損をした場合、税金の還付はありますか?

マイホームの売却で一定の要件を満たす場合、給与所得などと損益通算し、所得税・住民税の負担が軽減されることがあります。要件の詳細は税理士・国税庁でご確認ください。

投資用マンションを売って損失が出た場合も使えますか?

この特例はマイホーム(居住用財産)の売却が対象で、投資用物件などには原則として適用されません。

繰越控除はいつまで使えますか?

要件を満たせば最長3年間、翌年以降の所得と損益通算を繰り越すことができます。ただし各年の合計所得金額などの要件があります。

まとめ

マイホームの売却で譲渡損失が出た場合、買い替えの有無に応じた特例により、他の所得との損益通算や繰越控除が認められることがあります。適用要件は複雑なため、確定申告の前に税理士や国税庁で要件を確認しながら進めることをおすすめします。

損失が出た場合の税金についても、無料でご相談いただけます。

特例の要件確認は税理士連携も含めてご案内します。