Column ・ 管理 ・ Vol.23

家賃の値上げはできるのか|賃料増額の考え方と進め方

近隣相場の上昇や固定資産税の増加を背景に家賃の値上げを検討するオーナー様に向けて、賃料増額の考え方と進め方を整理します。

近隣相場の上昇や固定資産税の増加を背景に、家賃の値上げを検討するオーナーもいます。ただし家賃の値上げは貸主が一方的に決められるものではなく、法律上のルールに沿って進める必要があります。

この記事の要点
  • 家賃は契約で一度定めると、貸主が一方的に金額を変更できるわけではない。
  • 借地借家法では、経済事情の変動等を理由に賃料増額を請求できる場合があると定めている。
  • 増額を裏付ける事情としては、公租公課の増加や近隣相場との乖離などが挙げられる。
  • まずは入居者との協議による合意を目指すのが基本的な進め方。
  • 協議が調わない場合は調停、その後訴訟という手続きに移ることがある。

家賃はオーナーの一存で自由に上げられるのか

契約で定めた家賃は、貸主が一方的に金額を変更できるものではありません。値上げを行うには、入居者との合意、または法律上の要件を満たした増額請求という手続きを踏む必要があります。周辺相場が上昇しているからといって、貸主が通知一本で賃料を変更できるわけではない点は、まず押さえておく必要があります。

賃料増額請求ができる根拠(借地借家法)

借地借家法では、土地・建物に対する租税等の増減、地価や物価の変動、近隣の同種物件の賃料との比較などの事情により、契約で定めた賃料が不相当となった場合に、賃料の増額を請求できるとされています。ただし、一定期間賃料を増額しない特約がある場合は、その定めが優先されます。増額請求は意思表示をした時点から効力を生じるとされており、入居者が争う場合には、後に裁判所が相当と認める額との差額の精算が問題になることもあります。

増額の理由になり得る事情

増額の理由として説明しやすい事情には、固定資産税・都市計画税の増加、周辺の同種物件の家賃相場の上昇、建物の大規模修繕による資産価値の向上などがあります。感覚的な理由だけでなく、客観的な資料をもとに説明できるようにしておくことが望ましいといえます。近隣の募集事例や公租公課の通知書など、資料をあらかじめそろえておくと、入居者への説明や後の手続きがスムーズになります。逆に、長期間空室が続いているエリアや、周辺相場が下落している場合には、値上げの主張が認められにくくなる点にも留意が必要です。

増額を進める際の一般的な手順

実務上は、まず管理会社を通じて入居者に値上げの意向と理由を伝え、協議による合意を目指すのが一般的な進め方です。合意が得られれば、覚書などの書面で新しい賃料と適用時期を明確にしておきます。値上げ幅が大きい場合は、一度に希望額まで上げるのではなく、段階的な引き上げを提案することで、入居者の理解を得やすくなることもあります。

入居者が同意しない場合の流れ

協議をしても入居者の同意が得られない場合は、民事調停を申し立てる方法があります。調停でも合意に至らなければ、最終的には訴訟によって適正な賃料額が判断されることになりますが、時間や費用もかかるため、実務では合意による解決を目指すケースが多いといえます。調停や訴訟に進む前に、管理会社や弁護士に相談し、見込まれる結論や費用対効果を確認しておくことをおすすめします。

よくある質問

契約更新のタイミングでなければ値上げできませんか?

更新時に限らず、契約期間の途中でも借地借家法の要件を満たせば増額請求は可能とされています。ただし実務上は更新のタイミングで協議されることが多いです。

「一定期間は値上げしない」という特約がある場合はどうなりますか?

そのような特約がある場合は、その定めが優先され、期間中の増額請求が制限されることがあります。契約書の内容を確認する必要があります。

入居者が値上げに応じない場合、退去してもらうことはできますか?

値上げに同意しないことのみを理由に契約を解除することは、一般的には認められにくいとされています。対応に迷う場合は専門家に相談することをおすすめします。無理に契約解除を進めようとすると、かえって入居者との関係が悪化し、トラブルが長期化する原因にもなりかねません。

まとめ

家賃の値上げは、貸主の一存で自由に決められるものではなく、借地借家法上の要件や入居者との協議を踏まえて進める必要があります。固定資産税の増加や近隣相場との乖離など、客観的な理由を整理したうえで、まずは合意を目指した話し合いから始めることが基本です。

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