売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料などの費用、住宅ローン残高、譲渡所得に対する税金を差し引き、利用できる特例を確認して初めて手取り額が見えます。自宅だから自動的に非課税とは限りません。
- 売却判断は査定価格ではなく、費用・税金・ローン残高を引いた手取り額で行う。
- 仲介手数料は国土交通省告示の上限内で合意する。
- 譲渡所得は売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する。
- 3,000万円特別控除は自動適用ではなく、要件確認と確定申告が必要。
- 取得費が不明でも、資料を探す前に一律5%と決めつけない。
結論:売却前に手取り計算表を作る
査定価格から、仲介手数料、契約・登記関連費用、物件ごとの処分費等、譲渡所得税、住宅ローン残高を順に差し引きます。住み替えでは新居の購入諸費用と引越し費用も同じ表に入れ、売却価格が下振れした場合でも資金が不足しないか確認しましょう。
売却にかかる費用
一般に大きな項目は仲介手数料です。報酬には国土交通省告示による上限があり、実額は上限内で合意します。このほか、売買契約書の印紙税、抵当権抹消の登録免許税・司法書士報酬、引越し、残置物処分、状況により測量や建物調査などが発生します。査定を比べるときは売出価格だけでなく費用明細もそろえてください。
譲渡所得税の仕組み
売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額に税金がかかります。税率は所有期間によって異なり、所有期間5年超の長期譲渡でおおむね20%程度、5年以下の短期譲渡でおおむね39%程度が目安です(いずれも住民税・復興特別所得税込みの概算、2026年時点)。
3,000万円特別控除は要件を確認する
要件を満たす居住用財産では、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。一方、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却、入居目的が特例利用だけと判断される場合、前年・前々年を含む他の特例との組み合わせなどに制限があります。住まなくなった後の期限もあるため、契約前に適用可否を確認してください。
取得費がわからない場合
実際の取得費が売却代金の5%より少ない場合や取得費が不明な場合は、売却代金の5%を概算取得費にできます。ただし、契約書が見つからないだけで直ちに5%を使う必要はありません。購入代金の振込記録、住宅ローン契約、分譲時資料、登記関係書類、当時の仲介会社の記録など、取得価額を説明できる資料を探します。建物部分は所有期間中の減価償却相当額を差し引く点にも注意が必要です。
確定申告
3,000万円特別控除などの特例を利用する場合も、確定申告は必ず必要です。売却の引渡しを終えた翌年の申告期に、必要書類を揃えて手続きを行います。
よくある質問
自宅マンションの売却に税金はかかりますか?
譲渡益が生じれば課税対象ですが、要件を満たす自宅には3,000万円特別控除があります。取得費と譲渡費用を確認し、特例の適用可否を個別に判定します。
売却費用で一番大きいのは何ですか?
一般には仲介手数料が大きな項目です。ただし抵当権抹消、測量や残置物処分など物件ごとの費用もあるため、売却価格から費用・税金・ローン残高を引いた手取りで比較します。
購入時の契約書を紛失したらどうなりますか?
取得費が不明な場合は売却代金の5%を概算取得費にできますが、直ちに5%へ決める必要はありません。通帳、ローン資料、登記関係書類など取得価額を説明できる資料を探し、税務署や税理士へ相談してください。
公式情報で確認する
国税庁「マイホームを売ったときの特例」で3,000万円特別控除の要件を、国税庁「取得費が分からないとき」で概算取得費の扱いを確認できます。
まとめ
マンション売却は「自宅なら非課税」「契約書がなければ取得費5%」と単純化せず、取得費、譲渡費用、特例要件、ローン残高を個別に確認します。査定段階で手取り計算表を作り、税額に影響する契約時期や住み替え特例は税務署または税理士へ確認してください。