Column ・ 管理 ・ Vol.20

民泊・マンスリーへの転用を検討するときの基礎知識

空室対策として民泊やマンスリー賃貸への転用を検討するオーナー様に向けて、制度の違いや検討時の基礎知識を整理します。

空室対策として民泊やマンスリー賃貸への転用を検討するオーナー様に向けて、制度の違いや検討時の基礎知識を整理します。

この記事の要点
  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊は、年間提供日数が180日以内に制限され、都道府県等への届出が必要。
  • 旅館業法に基づく営業は、日数制限がない一方、許可取得や設備基準など要件が異なる。
  • 国家戦略特区民泊(特区民泊)は、対象区域限定で認定を受ける制度で、最低宿泊日数などの独自要件がある。
  • マンスリー賃貸(家具家電付き短期賃貸)は、通常の賃貸借契約または定期借家契約として扱われることが多い。
  • どの制度・形態を選ぶかによって、必要な許認可や管理体制が大きく異なるため、事前の確認が欠かせない。

なぜ民泊・マンスリーへの転用が検討されるのか

長期の空室が続く物件や、立地上インバウンド需要が見込めるエリアの物件では、通常の賃貸借に代えて民泊やマンスリー賃貸への転用を検討するオーナーもいます。短期利用者を対象にすることで、通常の賃貸とは異なる収益を見込める可能性がある一方、必要な許認可や管理体制は通常の賃貸とは大きく異なります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の仕組み

住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)は、住宅を活用して宿泊サービスを提供する事業について定めた法律です。この法律に基づいて営業する場合、都道府県知事等への届出が必要であり、年間の宿泊提供日数は180日以内に制限されます。近隣住民への配慮や衛生管理、宿泊者名簿の作成など、届出後も一定のルールに従う必要があります。

旅館業法との違い

旅館業法に基づく営業(簡易宿所営業など)は、年間の営業日数に上限がない点が住宅宿泊事業法との大きな違いです。一方で、都道府県知事等の許可を得る必要があり、玄関帳場(フロント)の設置や換気・採光などの設備基準、用途地域上の制約など、住宅宿泊事業法よりも要件が厳格になる傾向があります。

国家戦略特区民泊という選択肢

国家戦略特区民泊(特区民泊)は、国家戦略特別区域法に基づき、指定された区域内でのみ利用できる制度です。旅館業法の許可を要さずに一定の要件のもとで宿泊サービスを提供できますが、最低宿泊日数(2泊3日以上とされることが多い)など独自の要件があり、対象区域も限られます。物件が対象区域内にあるかどうかの確認が前提になります。

マンスリー賃貸という選択肢

マンスリー賃貸は、家具・家電付きの部屋を月単位などの短期で貸し出す形態で、法的には通常の賃貸借契約または定期借家契約として扱われることが多く、住宅宿泊事業法や旅館業法のような宿泊業の許認可は基本的に不要とされています。ただし、実態が短期の宿泊提供に近い運用になっていないか、契約形態や利用実態には注意が必要です。

転用を検討する際に確認しておきたいこと

民泊・マンスリーへの転用を検討する際は、物件の立地(用途地域、マンション管理組合の方針など)、想定する運用形態がどの制度に該当するのか、必要な届出・許可、近隣への配慮、清掃・鍵の受け渡しなどの運営体制を事前に整理しておく必要があります。制度の適用関係は個別の状況によって判断が分かれるため、行政書士など専門家への相談も検討してください。

よくある質問

民泊はどの物件でも始められますか?

用途地域やマンションの管理規約、消防法上の要件など、物件ごとに確認すべき事項が多くあります。始める前に個別の要件を確認する必要があります。

マンスリー賃貸なら許可は不要ですか?

通常の賃貸借契約として扱われる場合は宿泊業の許認可は不要とされていますが、実態が短期宿泊の提供に近い場合は扱いが変わる可能性があります。個別の判断は専門家に確認することをおすすめします。

民泊新法と特区民泊はどちらがよいですか?

対象区域や日数制限、要件が異なるため一概にはいえません。物件の立地や想定する運用方針をもとに、行政書士など専門家に相談しながら検討することをおすすめします。

まとめ

民泊・マンスリー賃貸への転用には、住宅宿泊事業法、旅館業法、国家戦略特区民泊といった複数の制度があり、それぞれ日数制限や必要な許認可が異なります。物件の立地や運用方針を踏まえて、専門家に相談しながら慎重に検討することが大切です。

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