Column ・ 管理 ・ Vol.28

入居者の死亡・事故があったときの対応と告知ガイドライン

入居者の死亡や事故が発生した際の初動対応と、次の入居者募集時に必要となる告知の考え方を整理します。

入居者の死亡や事故は、いつどの物件でも起こり得ることです。発生時の初動対応と、次の入居者募集時に必要となる告知の考え方について、国土交通省のガイドラインをもとに整理します。

この記事の要点
  • 発見時は、警察への連絡や親族への連絡など、状況に応じた初動対応が必要になる。
  • 特殊清掃が必要な場合は、専門業者への依頼と原状回復の範囲の整理を行う。
  • 国土交通省「人の死の告知に関するガイドライン」では、老衰や病死などの自然死、日常生活のなかでの不慮の事故死は、原則として告知の対象外とされている。
  • 自殺・他殺や、特殊清掃が必要になった孤独死などは、発生から一定期間、告知が必要とされる場合がある。
  • 告知の要否にかかわらず、借主から直接尋ねられた場合には事実を伝える必要があるとされている。

まず行うべき初動対応

入居者の死亡が発見された場合、まずは警察への連絡や状況確認が必要になります。事件性の有無について警察の判断を待つ必要があるほか、緊急連絡先に登録されている親族への連絡、遺品の引き取りに関する調整など、対応すべき事項が一度に発生します。管理会社が入っている場合は、初動対応の窓口を事前に確認しておくと安心です。

特殊清掃・原状回復の進め方

発見が遅れた場合など、特殊清掃が必要になるケースでは、専門の清掃業者への依頼が必要です。原状回復の範囲については、通常の退去時とは異なり、遺族や相続人、火災保険(借家人賠償責任保険など)の適用可否も含めて整理する必要があります。清掃・原状回復の費用負担についても、遺族と協議のうえで進めるケースが多く、管理会社が間に入って調整することもあります。

国交省ガイドラインが示す告知の考え方

国土交通省が示す「人の死の告知に関するガイドライン」では、老衰や持病による自然死、日常生活のなかでの転倒や誤嚥などによる不慮の事故死については、賃貸借取引において原則として告知の対象とはしなくてよいとされています。一方で、自殺・他殺や、発見の遅れなどにより特殊清掃・大規模リフォームが必要になった死については、心理的な影響が大きいとされ、一定の告知が求められる場合があります。

告知が必要になるケース・不要とされるケース

ガイドラインでは、自殺・他殺や特殊清掃が必要になったケースについて、事案の発生から概ね3年間は、賃貸借契約の締結にあたって借主に告知することが必要とされています(社会的影響の大きい事案など特別な事情がある場合はこの限りではないとされています)。なお、経過期間にかかわらず、借主から直接尋ねられた場合には、事実を伝える必要があるとされている点にも注意が必要です。

次の入居者への説明と募集の進め方

告知が必要なケースでは、次の入居者募集の際に、管理会社を通じて適切なタイミング・方法で事実を伝える必要があります。告知を理由に募集条件(賃料や設備)を見直すオーナーもいますが、対応方針に迷う場合は、ガイドラインの内容を踏まえつつ、管理会社や宅地建物取引士など専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

よくある質問

孤独死が発見された場合、必ず次の入居者に告知しなければなりませんか?

特殊清掃などが必要になった場合は、国交省ガイドライン上、発生から一定期間は告知が必要とされています。一方、自然死で特殊清掃を要しないケースは、原則として告知の対象外とされています。個別の状況によって判断が分かれるため、管理会社や専門家に確認することをおすすめします。

告知が必要な期間を過ぎれば、聞かれても答えなくてよいですか?

ガイドライン上、経過期間にかかわらず、借主から直接尋ねられた場合には事実を伝える必要があるとされています。期間の経過は告知義務の一律の免除を意味するものではありません。

火災保険で特殊清掃の費用はカバーできますか?

契約している保険の内容(借家人賠償責任保険や施設賠償責任保険の特約など)によって異なります。加入している保険の補償範囲を事前に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

入居者の死亡・事故が発生した場合は、警察対応や特殊清掃の手配など初動対応を適切に進めるとともに、国土交通省のガイドラインに沿って次の入居者への告知の要否を判断する必要があります。判断に迷うケースも多いため、管理会社や専門家に相談しながら対応することが大切です。

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