Column ・ 売買 ・ Vol.36

売買契約書で買主が必ず確認したい条項

売買契約書で買主が確認しておきたい条項と、契約前に押さえておきたいポイントを整理します。

売買契約書は、宅地建物取引業法により交付が義務づけられている重要事項説明書とは別に、当事者の権利義務を定める書面です。買主が特に確認しておきたいのは、手付解除の期限、ローン特約の期日、違約金の定め、契約不適合責任という「お金と解除」に関わる条項です。

この記事の要点
  • 売買契約書は「お金と解除」に関わる条項から確認するのが基本。
  • 手付解除は相手方が履行に着手するまでが原則で、契約書に解除期限日が定められるのが一般的。
  • ローン特約は本審査未通過時の白紙解除条項で、期日と手続き方法の記載を確認する。
  • 契約違反時の違約金は売買代金の10〜20%程度が一般的で、売主が宅建業者の場合は20%が上限とされる。
  • 契約不適合責任の責任期間・免責範囲、付帯設備表との整合も確認しておきたい。

結論:まず「お金と解除」の条項を確認する

売買契約書は分量が多く、細部まで読み込むのは大変な作業です。まず優先して確認したいのは、お金の動きと契約解除に関わる条項です。具体的には、手付解除ができる期限、住宅ローンの本審査に通らなかった場合のローン特約の期日、契約違反時の違約金の定め、そして契約不適合責任という4点が、買主の保護に直結する条項といえます。この4点を押さえた上で、その他の条項に目を通していくと理解が進みやすくなります。

手付金と手付解除

手付金には、契約の解除に関する意味合いがあります。相手方が履行に着手するまでの間は、買主は支払った手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金の倍額を返すことで、契約を解除できるのが原則です。この「履行の着手」がどの時点を指すのかは実務上判断が分かれやすい部分のため、契約書に解除ができる期限日が明記されているかを確認しておくと安心です。期限を過ぎると、手付による解除ができなくなる点にも注意が必要です。

ローン特約

ローン特約は、住宅ローンの本審査に通らなかった場合に、契約を白紙に戻せる条項です。買主にとって重要な保護規定ですが、内容が具体的に定められているかを確認する必要があります。解除ができる期日、対象となるローンの内容、解除の手続き方法まで契約書に記載されているかを確認しておきましょう。記載が曖昧な場合は、事前に仲介会社へ確認しておくことをおすすめします。

違約金の定め

契約に違反した場合の違約金についても、契約書で確認しておきたい条項です。違約金の金額は売買代金の10〜20%程度で設定されるのが一般的とされています。なお、売主が宅地建物取引業者である場合は、違約金の上限が売買代金の20%とされています(2026年時点)。想定外の負担にならないよう、金額の水準を事前に確認しておくとよいでしょう。

契約不適合責任と付帯設備

契約不適合責任は、引き渡された物件が契約内容に適合しない場合の売主の責任を定めるものです。責任を負う期間や、免責される範囲がどこまで定められているかを確認しておく必要があります。あわせて、付帯設備表や物件状況報告書の内容が、実際の物件の状態と合っているかも重要な確認ポイントです。営業担当者からの口頭説明と契約書の内容に食い違いがある場合、契約書の記載が優先されがちになる点にも注意しておきましょう。

その他の実務条項

このほか、引渡しの時期、固定資産税や都市計画税などの公租公課をいつの時点で清算するか、戸建てであれば境界の明示についても契約書に定められています。細部まで完全に理解するのは簡単ではありませんが、疑問に感じた点はそのままにせず、署名の前に必ず質問しておくことが、後々のトラブルを防ぐことにつながります。

よくある質問

売買契約書と重要事項説明書は何が違いますか?

重要事項説明書は契約前に物件・取引条件のリスクを説明する書面であり、売買契約書は当事者の権利義務を確定させる書面です。両方の内容に整合性があるかを確認しておくとよいでしょう。

手付解除はいつまでできますか?

相手方が履行に着手するまでが原則で、契約書に解除期限日が定められるのが一般的です。期限と「履行の着手」の内容を、契約書で確認しておきましょう。

違約金はいくらに設定されますか?

売買代金の10〜20%程度が一般的とされており、売主が宅地建物取引業者の場合は20%が上限とされています(2026年時点)。

まとめ

売買契約書は分量が多いですが、まず「お金と解除」に関わる条項を優先して確認すると理解が進みやすくなります。手付解除の期限、ローン特約の期日、違約金の定め、契約不適合責任という4つのポイントを押さえた上で、付帯設備表や引渡し時期などの実務条項にも目を通しておきましょう。個別の判断は宅地建物取引士や専門家に確認することをおすすめします(2026年時点の情報です。最新の内容は宅地建物取引士や専門家にご確認ください)。

契約書の内容についても、あわせてご相談ください。

条項の意味や確認ポイントを、丁寧にご案内します。