この仕事は、とにかく移動が多い。電車で、車で、一日のうちかなりの時間を「移動」に使っています。最初はこの時間を、ただの空白だと思っていました。
「空き時間」ではなく「仕込みの時間」
内見の現地へ向かう電車、契約先からの帰りの車。以前はスマホをぼんやり眺めて過ごしていました。でもあるとき、この細切れの時間こそ、頭を整理する貴重な時間だと気づきました。次に会うお客様が何を気にしていたか、現地で何を確認すべきか。移動の数十分で頭の中を組み立てておくと、現場での動きがまるで変わります。
逆に、何も考えずに着いてしまうと、現地で初めて段取りを考えることになる。同じ内見でも、仕込みのある内見とない内見では、お客様にお見せできるものが違ってきます。
あえて何もしない移動も残す
とはいえ、すべての移動を仕事で埋めるのも違うと思っています。窓の外を眺めるだけの移動も、意識して残すようにしています。考えごとが煮詰まったとき、答えはたいてい机の前ではなく、揺れる電車の中でふっと出てくる。
移動時間は、削るべき無駄にも、いちばん静かに考えられる時間にもなる。どう扱うかで、一日の密度が変わるのだと思います。
今日もこれから、一本の電車に乗ります。さて、何を考えようか。
— 株式会社スタンドアップ 代表取締役 鳥越 雄太郎